「凛、一緒に帰んない?」

いかにも『バスケ少女』といえる格好をした少女が、私に話しかける。

「いいけど、あたし今日バイト」
「じゃぁ、途中までは一緒行こう?」
「いいよ」

私はペンをしまい、鞄を持って立ち上がる。そして、私たちは教室を出て廊下を歩き始める。
私の名前は『花咲 凛』。年は17。
そして、隣にいるバスケ少女は『井ノ上 優』。
私と同い年で女子バスケ部のエース。ショートカットとクリッとした目が特徴的な女の子(だと、思う)。
優は、唯一あたしのバイトのことを知っている人。それだけあたしは優を信頼してるし、それだけ仲がいい。まぁ、簡単に言うと私たちはかなり強い信頼関係がある。
私たちが階段を下りていると、前からいかにもチャラそうな男が数人の女子と騒ぎながら私たちとすれ違った。

「あの子さぁ、毎回女の子連れ歩いてるよねぇ」
「てか、誰あれ?」
「えぇ!?蘭知らないの!?」

優が驚いたように言う。だって別に興味ないもん。

「あれ、『宮川 拓哉』だよ。ほら、この学校でちょーモテるって言われてる1年生」
「あぁ、けっこう評判だよね」
「そうそう、ファンクラブもあるって話だよ」
「へぇ」

ま、別に興味ないけどね(ぉぃ!

「ところで、バイトは順調?」
「あぁ、まぁね。今のところ」
「誰にもばれてない?」
「うん。優以外にはまだ誰にもばれてないよ」
「気をつけなよ?いつばれるか分かんないし・・・」

優が心配そうに私に言う。
「大丈夫だって。だいたい、簡単にばれるわけないし」
「そうだよね!じゃ、大丈夫か!!」
「あ、じゃぁあたし行かなきゃ」

ちょうど駅に着いたので、私はホームに入ろうとする。

「うん、じゃぁね!バイト頑張って!!」