綾乃はタクシーに乗り帰宅しながら時計を見た。

ＡＭ2：30

思っていたよりも早く事態は収まった。

メインシステムのサーバー異常は技術者の応急処置で何とか機能を回復した。
今夜は一度戻り、来週もう一度技術者と一緒に改善案を企業側に提案することになった。

できれば休日出勤はしないようにしたかった綾乃。
でも、来週に備えていろいろと用意しないとならないものが増えた。

出勤しなくちゃ・・・

深いため息をつきながら着ている悟のダウンの首元をギュッとあげる。
すっぽりと体を包まれて、綾乃はまるで悟に抱きしめられているような感覚を覚える。

それだけで、ざわざわとして落ち着かなかった心が落ち着いていくような気がする。