運命が変えた一夜 ~年上シェフの甘い溺愛~

それでもよかった。

仕事か彼女かと聞かれれば、悟は迷わず仕事だと答える。
給料がいい場所よりも、自分の進みたい道に進んでしまう。

シェフとして自分で納得のいく技術を身に着けることが一番の目標。
そしてある程度技術を身に着けたあとは食材についての知識を身につけたくなった。

市場でバイトをしながらレストランで修業をしたこともある。

悟がここまでこだわり修行をするのには訳があった。

自分の夢でもあったイタリアン料理のシェフ。
悟の父は日本料理の板前だった。
父の影響で料理をすることは幼いころから大好きだった。
調理専門学校に進んだ悟に大喜びした父を悟は覚えている。

でも進みたい道は父とは違いイタリアン料理。
父は別の道を選ぶ自分に文句ひとつ言わずに、イタリアンでも応用できる技術を悟に教えてくれた。