運命が変えた一夜 ~年上シェフの甘い溺愛~

マンションに着くと悟は綾乃をささえながら部屋の玄関まで送ってくれた。
「上着、それ今日一日貸す。」
「え?」
「男物だけど、俺のおまじないかけてあるから。夜、返しに来て、何時でもいいから。待ってる。」
「・・・はい」
悟の言葉の背景にある気遣いに気づいた綾乃は頷いた。

「頑張りすぎないこと。自分を大切にすること。何かあったらいつでもいいから連絡するように。なんなら駅まで送ろうか?」
これ以上今綾乃に何かをすれば、余計に迷惑をかけてしまったという罪悪感を膨らませてしまうとわかっている悟は、きっと断られるとわかりながらそう言った。

「いいえ!これ以上本当に・・・」
案の定綾乃は顔色を変えて断ってきた。

「わかった。おとなしく店で待ってます。君を思いながら料理を作って。あっ、綾乃って呼んでいい?」
急に話を変えて来た悟に戸惑いながらも綾乃はもちろんと返事をする。