運命が変えた一夜 ~年上シェフの甘い溺愛~

綾乃は処置室で一通りの検査をされた。

早朝に病院に到着した綾乃。
処置が終わったのは朝の8時をまわっていた。

手にしていた携帯電話から会社の上司にメールを入れる。
休みではなく、遅刻をすると。

休むという選択をしなかったのは、医師の診断を聞いたからだ。

鼓膜が炎症を起こしていた。でもそれは重要なことじゃない。
医師の診断は突発性難聴。

通常突発性難聴は痛みを伴わない。しかし今回の状況から考えて強いストレスや睡眠不足、過労が原因だろうとの医師の診断。綾乃の場合は右耳の聴力が左耳に比べて極端に低くなっていた。突発性難聴は片耳に症状が起きる。

すぐに治るような病気じゃない。薬を飲みなるべく規則正しい生活を送ることで改善することができるかもしれない。綾乃は仕事を休んですぐに治るという保証がないのであれば仕事をする選択をした。
仕事を休んで、もしも職を失うようなことがあれば生きていけなくなってしまう。

それに、いつの日からか綾乃は休むことへの強迫観念をもつようになっていた。