運命が変えた一夜 ~年上シェフの甘い溺愛~

こういう時、亡くなった両親を思い出す。

二人は本当に仲が良くて、近所でもおしどり夫婦で有名だった。
一人っ子の綾乃は大切に大切に育ててもらった。

あったかな家庭。

綾乃の母は料理がとても苦手で、代わりに父がよく料理を作ってくれた。

母は保育士。父は電気工事の技術者だった。

ごくごく普通の家庭。
でもあたたかかった。


久しぶりに・・・会いたくなっちゃったな・・・会えないけど・・・

もしも両親が生きていたら、迷わず実家に帰ってたんだろうな。
愚痴のひとつでも言って、慰められて、また立ち上がれていたかもしれない。

今の私はただごまかすことを覚えてしまった。