運命が変えた一夜 ~年上シェフの甘い溺愛~

「変えたくないものと、変わっていくものって違うと思うんだ。」
「?」
悟は抱っこしていた息子を見つめながら話始める。

「ずっと自分の店を持つことにあこがれて、この店を手にしたときは本当にうれしかった。それにここには俺の料理人としてのこだわりが詰まっていて、それを実現できる唯一無二の環境だと思ってたんだ。でもさ、綾乃と出会って、この子が生まれて、家族ってものをもう一度手にした瞬間、何かが変わり始めたんだ。俺の中で。」
悟は穏やかに微笑みながら綾乃を見る。

「俺は家族が大切だ。一番は家族なんだよ。毎朝、綾乃とこの子を置いてレストランに来て、料理して、家に帰る。家を出る時も、帰るときも、すごい心が痛くてさ。」
「・・・」
それは綾乃も同じ気持ちだ。
そばにいたい。でも、仕方無いと思っていた。

「それを奏介に話したら、紗那さんも協力してくれて、新しい店の建築を一緒に考えてくれるようになったんだ。」
紗那がすっと綾乃の前に大きな図面を出した。