「私も抱きたい」
綾乃の言葉に悟は、慎重にその手に赤ちゃんを預けた。
「怖いくらい・・ほわほわしてる。」
むにむにと手の中で動く赤ちゃん。

「かわいすぎる~」
そう言って涙を流す綾乃の涙を拭いながら、悟は笑う。

「あったかい。」
「うん」

綾乃は我が子を抱きながら、いろいろなことを思い出していた。

孤独に包まれていた日々。
一人で生きていくと決めて前だけを見てがむしゃらに進んでいた日々。
立ち止まることが怖かった。

一生一人で生きていくのかと思っていた日々。

今は腕の中には生まれたばかりの命。
そして、すぐ隣で自分と赤ちゃんを今まで以上に優しく温かいまなざしで見つめる愛する人。