ふと綾乃が声に出したことを、悟が聞き返す。

「一人じゃないなって。」
孤独に包まれて不安だった毎日。

ただ一人で歩かなければならないと思っていた毎日。

ぎりぎりのまま、転ばないように、必死に前を向いていた毎日。

満たされない心を、ただ前に突き進むことだけで解消しようとしていた。


でも、今は違う。

立ち止まることもできるようになった。
温かな料理を食べている時間だけでなく、幸せに包まれていることを実感している。