運命が変えた一夜 ~年上シェフの甘い溺愛~

ここまでの道のりを思い出しながら二人は同じペースで一歩一歩、歩き始める。

「愛してる」
耳元でささやかされる言葉に綾乃は足を止めた。

「どうした?」
突然止まった綾乃の方を見つめる悟に綾乃は抱き着く。

大好きな、どこよりも落ち着く場所。

「今のうちに独り占めしておかないとね」
胸の中から聞こえる言葉に悟は耳まで赤くしながら抱きしめ返す。

大好きな悟の香り。

この胸に抱きしめられて、孤独で満ちていた心が何度も救われた。

心から信じられずに、心を閉ざそうとすることもあった綾乃も、悟の変わらない大きな愛情に、いつの間にか心溶かされていた。