運命が変えた一夜 ~年上シェフの甘い溺愛~

「会いたいの」
「誰に?」
「・・・お父さんとお母さんに」
一瞬綾乃の言葉に黙った悟。

でも、次の瞬間には微笑みを浮かべながら「行こうか。今から。行こう」と語りかけていた。


悟は駅員にお礼を告げて、綾乃の病院に連絡をしてから、近くのデパートで簡単に綾乃の服を買った。
その間、綾乃は疲れ切ったようでぐったりと助手席で眠っていた。

綾乃が寝ている間に、車を走らせて綾乃の両親の墓地に向かった悟。
綾乃が目覚めるまで車を停めて悟は綾乃の寝顔をじっと見つめた。

自分と出会ったせいで綾乃が背負ってしまったものの大きさを想う。
こんなに痩せて・・・。
背負わせてしまったものの重圧はこんなにか弱い綾乃には支え切れない。
なのに・・・俺と出会ったせいで・・・。