「では2日後の朝10時に病院でお待ちしています。それまでに痛みや出血があった時は連絡後、病院に来てくださいね。」
「ありがとうございました。」
綾乃は医師に頭を下げ、診察室を出た。

「あの」
先に診察室を出た綾乃。あとから悟が診察室を出ようとすると医師が悟を呼び止めた。

「彼女の精神状態の不安定さは一ノ瀬さんからもうかがっていますし、医師として察します。今回のような出来事で相当彼女の精神状態は不安定になるはずです。支えてあげてください。それから心療内科の医師にも早急に状況を説明して受診してください。」
「はい」
悟自身も綾乃の様子に違和感を感じている。

いっそのこと声をあげて泣いてくれるほうが綾乃の気持ちが分かる。

でも、今の綾乃は無表情のまま、淡々と話も進めていて、むしろ不安と心配が募る。
悟の心の中で綾乃から目を離したらならないと警笛がなっていた。