運命が変えた一夜 ~年上シェフの甘い溺愛~

「どっか痛む?」
男性に触れられて綾乃は一気にゆっくりと回らなくなっていた思考回路が戻る。

「大丈夫です。」
咄嗟に少し体を男性とは反対側にひくと、男性も慌てて綾乃の肩に置いた手を離した。

「ごめん。」
慌てたように謝りながら男性は離した手を自分の頭にもっていく。

「こんな夜道で怖いよな。俺、そこのレストランのシェフしてます。一ノ瀬悟と言います。よく、金曜にうちの店に来てくれますよね?」
男性の言葉に綾乃はじっとその人を見る。

いつもは白いコック服を着ていて、頭には黒のキャップをかぶっているシェフ・・・。
気付かなかった・・・。本物だ。

「・・・」
綾乃の反応に自分を認識されたとわかった悟はにこっと微笑む。
「今日、エレベーターでもお会いしましたよね?」
男性の言葉に綾乃は目を丸くした。