運命が変えた一夜 ~年上シェフの甘い溺愛~

悟は何も言わずに綾乃の体を抱きしめ、少し涙が落ち着いたところで綾乃の体を抱き上げてベッドに再び横にさせた。

「ごめん、こんな状態で仕事に送れない。今日は仕事休んでほしい。」
懇願するような切ない瞳に、綾乃は頷くしかなかった。
止まらない涙のまま、綾乃はPCを悟の部屋にもってきてもらい、そこから職場へ仕事のメールをした。

隣に寄り添いながら、悟は綾乃が仕事が終わるまで隣に居てくれる。
時々流れている涙を拭いたり、水分をとれるように温かな飲み物を綾乃の手に渡してくれる。

予定していた仕事はすべてメールで済ませ、予定していた打ち合わせもリモートで参加して無事に終えた綾乃。
ふと時計を見るともうすぐお昼という時間だった。

「レストラン・・・」
「今日は予約がないから、臨時休業にする。貼り紙は俺の知り合いに貼ってもらってるから、大丈夫。」
きっと予定していたオープンをしないことで、仕入れていた商品や、売り上げも大幅に影響するだろう。いつも開店していた日に店を開けないということはレストランにとってマイナスになるに違いない。

自分のことばかりで、やっと悟のことを考える余裕ができた綾乃は、後悔をした。

「私・・・気づかなくて・・・ごめんなさい」
完全に気持ちがマイナスになっている綾乃。
表情は暗く、うつむいてしまう。

悟は綾乃の膝の上に乗っていたPCをそっと隣の机に置くと、綾乃の肩を抱きしめた。