運命が変えた一夜 ~年上シェフの甘い溺愛~

「私・・・」
「うん」
背中をさすり綾乃を見つめている悟は綾乃の言葉を待ってくれている。

「・・・っ」
言葉に詰まるりながらも待ってくれている悟に何か言わなければと焦る綾乃に、悟は「ゆっくりでいいから。時間はまだあるんだから。ゆっくりでいい。」
と言葉をくれる。

「怖い・・・」
綾乃が絞り出した言葉の意味を悟は考える。

何を恐れているのかがちゃんとキャッチできなければ、綾乃は崩れてしまうかもしれない。
不安定な綾乃の足元を余計に不安定にするような返事をしたらいけないと、悟は内心かなり気にしていた。

「何が怖いか、言えるか?」
綾乃の話をちゃんと聞きたい。そのうえで、中途半端なことは言えないと悟は考えている。
綾乃は、悟にどう言えばいいかわからない。