運命が変えた一夜 ~年上シェフの甘い溺愛~

どろどろとした感情を思い出し、現実から目を背けたくて目をギュッと閉じる。

その時。

そっと右手に温かなぬくもりを感じた。

再び瞳を開くと、そこには心配そうな瞳で綾乃を見つめる悟の顔。
「大丈夫か?具合悪い?」
「少し・・・」
「待ってろ。もうすぐつくから。もう少しのしんぼうだから。」
再び真剣に前を見て、いつもより肩に力を入れてハンドルを握っている悟。

この人は違う。
だってこんなにも・・・温かい・・・

何度も自分に言い聞かせる。
でもまだお互いの知らないことも多い。
むしろ知らないことばかりだ。