運命が変えた一夜 ~年上シェフの甘い溺愛~

マンションのある駅に着き、早足で駅から出るとすでに足元には5㎝ほど雪が積もっていた。

ヒールは滑り止めなんてついていない。
かなりつるつると滑って足元は不安定だ。

転ばないように細心の注意を払いながら歩き出す。
深夜を回っている夜道は氷点下なのだろう。
つるつるに道路は凍っていた。

足元を見ながら歩き進める。
いつもなら駅からマンションまでは5分ほどなのに、きっと倍以上かかるだろう。
でも、転ぶのは嫌だ。

ただでさえ一週間に一度の楽しみを奪われて、いろいろと朝から今日は虚しさを感じているのに、とどめを刺すようなものだと予想できる。

その時、視界に大好きなレストランが入った。
【close】入り口の看板が裏返っている。

まだ店内にうっすらと明かりは見えるけれど明らかに閉店後の片づけをしている状態だ。