運命が変えた一夜 ~年上シェフの甘い溺愛~

『お疲れ様』
その声にふっと肩の力が抜ける。
「お疲れ様です。」
悟も忙しいレストランの仕事を終えたばかりだろう。
お互いにお互いをねぎらう。

「今から帰ります。」
『また敬語に戻ってる。』
まだ敬語になってしまうことがある綾乃。特に仕事で一日中敬語を使っていると、悟との会話も敬語になりがちだ。
『会社の近くのコンビニで待ってるから。』
「え?」
『今日はお迎えに来てみた。片付け早く終わったし、きっと終電ギリギリだろうなって思ったから。』
「すぐ行きます」
『ははっ、また敬語。』
「本当だ。なんか声聞いたらほっとして。」
正直な話だ。綾乃は悟とのことを考えたり、悟からのメッセージを見たり、声を聞くだけで心からほっとできる。一日中仕事で張り詰めていた心がふっと緩む。