開けた時の楽しみがなくなるからと、綾乃のおにぎりを包むまでは絶対に中身を見せない悟。
すでにキッチンには綾乃のおにぎりの入ったお弁当ケースが置かれている。

「私も隣に居たいくらい。」
本当は仕事に行かずにずっと悟の隣に居たい。
本音を漏らす綾乃に悟は一瞬手を止めて口づける。

「かわいいこと言うなよー。俺も仕事行きたくなくなるじゃん。」
「ふふっ」
「俺がこんなにも彼女に心持っていかれるとは、自分でも思わなかったなー。」
笑いながら、料理を運ぶ悟。
綾乃はその後ろをほかの料理を持ちついて行く。

ダイニングテーブルの上に料理を並べ、もう一度キッチンへ戻ろうとすると、悟が綾乃の体を抱きしめる。

「あー、幸せ。」
「私も」
迷わず背中に手をまわす綾乃。