まだ、髪は寝ぐせが付いている。
「ごはん、できてるから。食べよう」
「ありがとう」
敬語を使わなくなった二人。

前よりもいろいろと気まずさやぎこちなさはなくなってきている。

悟がキッチンへ向かうと綾乃も後ろをついて行く。
「今日は根菜の味噌汁にしたんだ。」
「おいしそう。」
毎朝鰹節を削るところからこだわって作っている悟。
部屋の中はとてもいい香りがする。

悟の業務用のキッチンが入っている部屋。
いつも幸せなおいしい香りがしていて、綾乃は自分の部屋よりも落ち着くように感じ始めている。

「皿、出して」
「うん」
すっかり悟の部屋のキッチンを覚えた綾乃。