運命が変えた一夜 ~年上シェフの甘い溺愛~

「誰かが俺の料理を食べて涙を流してくれて、そのあとあんなに穏やかに緩やかに微笑んでくれてさ、やっと俺、満たされたんだ。あー俺が目指していたものってこれかって。そして、どんなに努力をしても満たされなかった心があったかい気持ちで満たされた。がむしゃらに目指す場所もわからず走ってた俺が、目標もゴールも同時に見つけた。」
悟は再び体を少し離して、綾乃の顔を見た。

星空に照らされる綾乃の瞳が揺れている。

自分の話に、涙を浮かべながら聞いてくれている綾乃。
悟の中に芽生えている綾乃への気持ちが膨らみ、愛おしさとなりあふれる。

「綾乃が俺が探してた道であり、ゴールなんだよ。綾乃は俺が探してたものを教えてくれた。見つけてくれた。」
ただ、支えてもらってばかりだと思っていた。
悟に負担や迷惑ばかりをかけてしまっていると、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

でも、与えてもらうだけの関係ではなかったのかと思えただけで綾乃の心は満たされる。