運命が変えた一夜 ~年上シェフの甘い溺愛~

「怖がってるだけなんです・・・」
「誰でも怖いさ。」
「怖いから、今の自分の場所を守ることで必死なんです。」
「うん」
「もう一度失敗したり、もう一度傷ついたら・・・もう立ち上がれないかもしれない。もう頑張れないかもしれない。・・・自分のことなのに、自分が信じられない・・・怖い・・・」
綾乃は悟の胸にすべてをゆだねるようにもたれる。

悟は少しの間、空を見上げて黙った。

綾乃に贈る言葉を考えながら、愛おしさがこみ上げる悟。
綾乃は、自分の想いを言葉にうまくできず、悟が理解するまでに時間がかかっいるのかと、黙る。

少しして、悟は話し出した。
落ち着く声で話しはじめる悟。

綾乃はその声に耳を澄ませる。静かな夜。全身に悟の声が響いた。