運命が変えた一夜 ~年上シェフの甘い溺愛~

きれいな景色を悟のぬくもりを感じながら見ていると綾乃は、心を締め付けていた想いを悟に聞いてほしくなった。

「・・・私は臆病なんです。」
「臆病?」
「・・・私なりに今精一杯生きていて、前に進んでるんです。」
「うん」
「私は・・・全然できなくて・・・。仕事も、今精一杯やって・・・認められれば認められるほど・・・私はどこまでがんばればいいんだろうって。・・・もしも何か間違いを犯してしまったり、ミスをしたら・・・私・・・」
そこまで話をしたところで悟は綾乃の体をそっと抱き寄せた。

「自分の気持ちや考えを伝えたいだけなのに、言葉にするのもへたくそで・・・。」
「いいよ」
「え?」
「へたくそでもいい。話してくれるのがうれしいし、大切なんだ。わからなかったらちゃんと質問するから、話して。」
耳元で聞こえる声に、綾乃は瞳を閉じて話しを続けた。