運命が変えた一夜 ~年上シェフの甘い溺愛~

「治る。きっと。俺が治して見せる。」
悟の言葉に顔をあげると、大きな手が伸びて来た。

綾乃の右耳に触れながら真剣な顔の悟が言う。

「大丈夫。きっと。」
治して見せる。

「ちゃんと言ってなかったけど、付き合ってください。」

大人になると、ニュアンスで会話をしたり、わかっているはずだと憶測で物事を進めて、言葉にあえてしないことが増える。
生きて来た経験が増えると、面倒ではなくても、いちいち言葉にしなくてもその行動の意味や背景を考えてわかってもらえるだろうという場面が増える。
だからこそ行違いになったり、誤解したり、こじれたりする。

でも、悟はいつだって、ちゃんと言葉にして伝えてくれる。