運命が変えた一夜 ～年上シェフの甘い溺愛～

「綾乃」
ささやくような優しい声に綾乃が目を覚ますと、悟がすぐ近くに顔を寄せて綾乃を起こしていた。
「ごはんできた。」
「ごめんなさい。寝ちゃって。」
「何言ってんだよ。俺にとってはこれが最高の幸せなんだから、謝んなよ。」
笑いながら綾乃が体を起こすのを手伝った悟は、綾乃の手にスープカップと木のスプーンを渡した。
「チーズリゾットです。あまり濃くならないように、さっぱりと仕上げました。」
少し照れたように言う悟。

綾乃に食べてほしいものが多すぎて、ついいろいろと作りたくなってしまう。
でも、けがをしている綾乃。検査もいろいろとして疲れも体の負担も大きい。

いろいろと考えて、食べやすく栄養価の高いものにした。
「早く骨がくっつくようにカルシウム意識してみた。」
「ふふっ。ありがとうございます。」
寝起きの綾乃。力の抜けたその笑顔に悟はギュッと心をつかまれる。