運命が変えた一夜 ~年上シェフの甘い溺愛~

思わず大きな声になりながら悟が聞くと綾乃は小さな声でつぶやいた。
『実は・・・階段から落っこちちゃって・・・』
「え?どこの!?けがはっ!?」
『駅の・・・ヒビで済みました・・・』
「・・・」
急に黙った悟に綾乃は不安になる。
幻滅されてしまったかと、綾乃も言葉に詰まった。
なんと話したらいいかわからない。

「いまどこ?」
『家に帰ってきたところです・・・。救急車で運ばれてから意識なくて・・・目が覚めてから帰宅したところです・・・。すみません。』
すっかり敬語に戻っている綾乃。
悟は低い声で「今から行く」と伝えて、部屋のカードキーをズボンのポケットへ入れて、玄関へ向かった。
自分の部屋を出てすぐに綾乃の部屋の前に立つ。