運命が変えた一夜 ~年上シェフの甘い溺愛~

なぜか綾乃の瞳から涙があふれ出して、悟は焦ったように綾乃の涙を拭った。
「ごめん。体調だって悪いのに。困らせて。ごめん、ごめん。」
笑顔が消えた悟に綾乃は首をぶんぶんと横に振った。

「うれし・・・」
ふっと綾乃が微笑む。
涙が流れ、瞳は駐車場のライトを反射して、きらきらと輝いている。
悟は「いやだったら、拒否して。」と告げてから、ゆっくりと、ゆっくりと、綾乃の唇に近づく。

その表情は真剣そのもので、悟の緊張が綾乃にも伝わる。

綾乃は、離れるどころか、悟の服をつかみ、瞳を閉じた。
その瞬間、瞳に満ちていた涙が大粒の雫になり頬にあてられた悟の手に落ちる。

二人はそっと口づけた。
はじめは触れるか触れないかのキス。
悟は綾乃の気持ちを確かめるように、少しずつ少しずつ口づけを深めていく。