運命が変えた一夜 ～年上シェフの甘い溺愛～

「・・・」
まだ眠そうな綾乃が目を開けるとそこには、優しい瞳で自分を見つめる悟がいた。
「ごめんなさい」
慌てて体を起こす綾乃。

自分の体に悟の上着がかけられていることや、シートベルトを外し、席を倒してくれていることに気が付いた。

「まだ寝かしてあげたいんだけどな。本当は。」
「悟さんも忙しいのに。」
いろいろと話をしているときに、悟は綾乃が出勤する時間には市場に行って買い出しをしている日が多いことを聞いていた。そこから仕込みをはじめて、レストランは11時にはオープンする。
睡眠時間は一日平均して5時間ほどだという。

『自分のやりたいことをしてるんだ。全然苦じゃない。』
そうは言っていても、綾乃は自分のせいで貴重な悟の時間を割いてしまっていることを申し訳なく思っている。