そう話す間も、未来の口からは嗚咽が漏れて小さな体は震えている。泣いても泣いても未来の目から涙が止まることはなかった。

「未来、無理しないで……」

普通なら、好きな人の笑った顔だけを見て生きていたいと思うものなのだろう。しかしスヒョンは、未来の泣いている姿も愛おしいと感じてしまった。未来の瞳からこぼれていった涙は、まるで海に眠る真珠のように見えた。

「寂しいよね……」

未来のことを想って、スヒョンは口癖を言う。そして初めて未来にそっと触れた。未来の髪は柔らかくて温かい。それなのに、どこか冷たくて虚しかった。



それからも、スヒョンは「寂しい」という最低な言葉で未来をそばにつなぎ止める日々が続いた。何十回、何百回もその言葉を口にし、そのたびに未来は優しくそばに寄り添ってくれた。

「卒業、おめでとう」

未来が涙を拭い、ニコリと笑う。先ほどまでは声を上げて泣いていたのが信じられないほど、綺麗な笑顔だ。スヒョンはそれに見惚れつつ、「おめでとう」と言う。