藍先輩の危険な溺愛レッスン。

そしてあっというまに人混みの中へ消えていってしまった。


私は先輩の腕をぎゅっと握っていた。


「行かないで」


今にも先輩が彼を追いかけて電車を飛び出していきそうだったから。


痴漢から守ってほしいとは頼んだけれどいざとなると怖くなってしまった。


先輩が意外にも喧嘩腰だったので、揉めたりしないかヒヤッとしたんだ。


「くそ、逃げられた」


悔しそうに眉間に皺をよせる。


「もういいです。今日はなにもされなかったし」


「でも顔は覚えたから」


「先輩がいたから近づいてこなかったのかも。ありがとうございます」


「うん」


先輩はただ、寝ていただけだけどおかげで今日は無事に電車には乗れた。


男の人と一緒だと思ったから近づいてこれなかったんだろうな。