藍先輩の危険な溺愛レッスン。

「どうしたんですか?」


「……」


テレビも付いていなかったので、沈黙がちょっと重い。


「愛菜ちゃんがお店を手伝いだしてから俺の弁当、微妙に変わっていったんだよね」


「あ、それは……」


「注文していないメニューが入ってたりすることもあって、毎日楽しみだった」


「……」


楽しみだったって言ってくれているけど、今思えば話したこともない時から勝手なことをしていたような気がする。


おせっかいだって思われてなかったかな。


「どうしてだろうってしばらくはわからなかったけど、愛菜ちゃんが俺のために工夫してくれてるのかなって気が付いたらちょっと嬉しかった」


そう言って彼は顔をクシャっとさせて笑った。


「いっつも厨房にこもってて出てきてくれないけどどんな子なんだろうって想像してたよ」


うん、それはわかるかもしれない。


だって私も声や会話から彼のことを想像していたから。


「そ、そうなんですか。あのどんなふうに思ってました?おせっかいな子を想像しましたよね?」


しかも顔もあらわさないコミュ障って思われていたかも。


「まさか」


彼はそんなことないよって否定する。


「真面目ですごくいい子なんだろうなって思ってた」


彼は目を細めて眩しそうに私を見る。