藍先輩の危険な溺愛レッスン。

まだあんまり至近距離で見慣れていないせいか真っすぐに見つめられるとドキッとする。


「んー、なんだよ。ひとがせっかく気持ちよく寝てたのに」


けだるげな感じで文句を言ってきた。


まだ眠そうにしている彼に急いで今の状況を告げる。


「先輩。痴漢かもしれない人が近くにいるんです。助けてください」


「えっ？」


先輩はびっくりしたように目を見開く。


「どこ？」


顔を近づけてくるので、ドキッとしたけど小さい声で答えた。


「先輩の右後ろのメガネをかけた人です」


先輩は急いで振り返ったけどその時ちょうど駅に着いて扉が開いた。


れいのメガネをかけた彼は慌てて電車から降りて行ってしまう。


「おい、そこのメガネ、待て」


先輩が声をかけると彼は背中を丸めて走って逃げだす。