嫌な予感が見事に的中した……。


「お母さんったらこれから忙しくなる時間なのに」


小声で文句を言ったけど全然だめで。


「いいじゃない、お世話になってるんだからそのくらい。それにこの後バイトの美紀ちゃんも来てくれるから大丈夫よ」


「でも……」


男の人の一人暮らしのお部屋に行くなんてちょっと気が引けるよって言おうと思ったんだけど、母はさらにびっくりする提案をしてきた。


「そうだ、愛菜も藍くんと一緒に晩御飯を食べてきなさいよ」


「へ?何言ってるの」


「だっていつも一人で食べるのなんて味気ないでしょ。いいかしら?藍くん」


先輩に向き直ってニコッと笑う母。


「俺はいいっすよー」


メニュー表を見ていた彼はチラッとこちらを見てから、何でもないことのようにオッケーした。


「じゃあ、愛菜ちゃん携帯の連絡先交換しよっか?」