彼に引っ張られるような形でなんとか人込みを抜けることができた。


まだたくさん人がいるけど少しはましになったのでホッと一息ついて立ち止まる。


「寺田さん、この辺りにはいないみたいだね。神社の外に行っちゃったのかな」


神社の入口のあたりを見たけど二人の姿は見当たらない。


こう人が多いと探すのも一苦労だ。


電話をかけようと思ってスマホを取り出して画面を見たら圏外になっていた。


人が多い場所だから仕方がないか。


「どうしよう、神社を出て駅の方へ向かったのかな」


瑠夏ちゃんが泣きながら帰ってしまったのかと思って心配だった。


「私達もとりあえず神社から出て探しに行こう」


何処をどう探したらいいのかさっぱりわからないけど、じっとしていられない。


早く見つけてあげたい。


「そうだね、中島がうまく見つけてたらそれでいいんだろうけど」