先輩ったら、ここは学校ですよ。


急いでつないだ手をふりほどく。


「え?えっと学校の中なのでそれはちょっと……」


「どうして?」


「恥ずかしいですし」


「別にいいんじゃない?」


また手を繋いでこようとしたので慌てて逃げる。


「冷たいな」


先輩は不満げに唇を尖らせる。


だけどすぐに何かいいことでも思いついたようにニッと笑う。


「じゃあレッスンしよう」


「は?なぜですか?いまからですか?」


「いいからいいから。最近あんまりやってなかったしね」


先輩は聞き分けのない子を説き伏せるように優しくなだめる。


「じゃあ、もしも学校で男に追いかけられたときのレッスンね」


「は?なんですか?唐突過ぎますよ」


「だって愛菜ちゃんが全然イチャイチャさせてくれないから」


「……っ」


わけがわからなくてどう突っ込んでいいのやら。