「もうこんな風に俺から逃げないで」


「先輩」


「これまで通り、俺に君を守らせて欲しい」


「はい」


彼の顔が近づいてきたから心臓がトクンと甘く鳴った。


「これからもずっと」


コクッと頷いたらすぐに唇に熱い感触が。


仲直りの甘いキス。


頭の芯がしびれそうなくらい夢中になった。


彼は唇を離すと私の頬の雫を指ですくいとる。


同時に頬とおでこに優しいキスが降ってくる。


甘い吐息がかかるたびに胸の奥がうずいた。


彼は眩しそうに目を細める。


「そんなに可愛い顔されたら離せなくなるだろ」


嬉しい。


可愛いって言ってもらえて天にも昇る心地がした。


「意地を張ってごめんね」


「ああ、うん。いじっぱりだけどそんなところも好きだよ」


彼が柔らかく笑うから私も笑顔が溢れる。


「先輩」


瑠夏ちゃんは先輩が私のことを溺愛しているように見えるって言っていたけど、私もそう思う。


甘やかされ過ぎている気がする。


もう完全に彼の熱に閉じ込められて腕の中から抜け出せなくなっていた。