でも、これってなかなかのスパルタだよー。


わわっ、どうしよ。まさかほんとにキスするつもり?


思わずギュッと目をつぶって身を硬くした。


先輩とキス……。


しちゃったら、この後どんな顔すればいいんだろ。


って問題はそこじゃないっ。


「あーあ、ダメだよ。愛菜ちゃん。スキだらけじゃん」


先輩の唇は私の耳もとに触れるか触れないかのところで止まる。


息が首筋にかかって背中がゾクゾクした。


「あ」


そっか、これも練習なんだよね。ほんとにするわけないか。あーびっくりした。


「嫌なら嫌って主張しないと最後までしちゃうよ」


どうしょうもないなって言いたげな呆れ顔。


彼は一歩後ろへ下がるから、やっと解放されてホッとする。


けどすぐにいたずらっぽく笑う