反論してみたけど焼け石に水。


「はいはい。
もういいから黙って」


問答無用って感じで、手を伸ばしてきた。


逃げなきゃいけないのに、身体が動かなくなる。


彼が近づくだけで胸がドキドキして熱くなる。


「ひゃっ」


次の瞬間、たくましい腕にぎゅっと抱きしめられて身動きがとれなくなった。


「嫌?」


困ったことに全然嫌だとか怖いって思えない。


だけど嫌じゃないよって正直に答えたら彼を図に乗らせてしまう。


だから言わないでおこう。


抵抗出来なくてただ恥ずかしいから顔をそらせた。


「あのこれっていつものレッスンですか?そうじゃなかったらどうしてこんなこと」


そう言えば、最近先輩のレッスンはあんまりなかった。


男に慣れるためだよって言って、迫ってこられたことがあるからもしかしたらこれもその類のものなのかな?


「そうだな、どっちでもいいけどね」