藍先輩の危険な溺愛レッスン。

だけど、この時一瞬で先輩を信頼できる人だって思ったらしい。


そして今この時の私に必要な人なんだと思ったみたい。


「愛菜ちゃん、大丈夫?歩ける?」


「は……い」


声がうまく出せなくてかすれてしまう。


まだ全身が小刻みに震えている私を支えるように立ちあがらせてくれた。


「あ、あの」


先輩のお弁当をさっき落としてしまったのを思い出した。


「そっか、これを持ってきてくれたんだね。ありがとう」


「愛菜ちゃん、ここにいて」


私を階段のところまで移動させた彼はここで待っているように言った。


彼は素早く教室にお弁当を置いてまた戻ってきてくれた。


「じゃあ、行こっか」


「うん、先輩。落としてごめんなさい」


「いいよ、そんなの。大丈夫だよ」


先輩の優しい視線が痛い。


こんな発作みたいになっちゃって、実際引かれているかもしれない。