藍先輩の危険な溺愛レッスン。

石井さんが怪訝そうに、また手を伸ばしてきた。


怖くてギュッと目を閉じた。


「こら、石井、触るなっ」


だけど、聞き覚えのある声を聞いて全身の力が抜けたみたいにホッとする。


「なんだよ、藍。邪魔すんな」


石井さんが振り返るとそこには藍先輩が厳しい表情で立っている。


「その子に近寄るな、見るな、声をかけるな」


ツカツカと歩み寄ると私を隠すように目の前に両手を広げて立った。


「なんでだよー。おまえの彼女じゃないんだろ?」


「彼女じゃないけど、大事な子だ」


彼はきっぱりとそう言った。


「なんだそれ?」


「いいから、おまえらみんなあっち行け。彼女、怖がってるだろ」


藍先輩が石井さんや他の人たちの背中や肩を小突いて追い払ってくれた。


彼は私の様子を見て、焦っているみたいだった。