「そうですか?」


「うん、やっぱり愛菜ちゃんはつつましくいてほしい。じゃないと俺がいろいろヤバイ」


「どうしてやばいんですか?」


まったく意味不明で苦笑いした。


「今日の愛菜ちゃんは距離感がおかしいから……」


曖昧に笑う先輩、ちょっと頬が赤いのは日に焼けたせいだろうか。


ごまかすように笑ってこんな提案をしてくる。


「ちょっと休憩してかき氷でも食べよっか」


「はい」


「何味にする?」


こちらへ差し出された大きな手に自然と手を伸ばしていた。


「いちご」


「じゃあ、奢る」


「やった」




帰るときには、海の思い出が楽しいものに変わっていた。


こんなのは初めてで、不思議だったけど確かにこの日は楽しい夏の思い出の1ページになったんだ。