好きは閉じ込めて【完】

「あっためてんの、史華さんの手冷たいから」

「え、いいよ、迅くんの手冷えちゃうよ?!さっきまであんなに嫌がってたじゃん!!」

「せんぱいはさあ、ばかだよね」

「はい?」


この男年下のくせにわたしのことばかって言ったな?
しかもさっきからわたしの話すごい無視するじゃん。

わたしの冷たい両手は彼の綺麗な手に握られたままだ。


「おれが優しいわけないじゃん。せんぱいがクズに振られてチャンスだとかひどいこと思ったのに優しいわけねえじゃん」

「え、クズって…先輩のことか…?」

「優しくしたのだって自分のためだよ、傷ついてるせんぱいにおれのこと好きになってもらいたくて優しくした」


心臓がドク、ドクと煩く音をたてる。

わたしの瞳を真剣な表情で見下ろしてくる彼から視線を逸らすことなんて到底出来なかった。






「おれ史華さんのこと好きなんですけど、おれみたいな年下どうですか」

「っ…」

「おれ、あの人と違って年下ですけど大切にするんで付き合って下さい」


やけに自分のこと年下って強調してくるけれど、わたしが年上好きって思ってるのかな。



でも、そんなの関係ないよ。

だってわたし年上とか年下とか関係なく迅くんって人に惹かれたんだもん。


先輩に振られて悲しんでた癖にすぐ迅くんのこと好きになっちゃう軽い女だって思われたくなくてずっと好きだって気持ちは閉じ込めておこうって思ってたのに、


迅くんがわたしを好きとか夢のまた夢みたいなこと言うから我慢できなくなっちゃったじゃん。