好きは閉じ込めて【完】

だな。と思いつつ、えええい!という気持ちで整った唇に勢いよく自分の唇を乗せて一瞬で離れた。


よし、した、キスした!

落ち着かないまま、おどおどとしているとゆっくり目を開けた彼と視線が交わってビクッと肩があがる。


「へたくそか。ていうか全然足りないよ史華さん」

「えええ」


迅くんは見下ろしたままそう言うと素早くわたしの後頭部に腕を回して距離を縮める。


そしてわたしがしたのとは全然違う、優しくて丁寧なキスをしてくれた。


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「そういえばさ」

「うん?」


2人並んで手を繋いで歩く。
いつもは隣に並んで、ただ話して帰るだけだったのに今日からはこうやって手を繋いで帰るんだって思ったら自然と頬が緩んでしまう。


「ずっと気になってたけどせんぱいこれ使いたいの」


そう言って迅くんが指さすのは迅くんの首元に巻いてあるグレーのマフラー。


「え?!なぜ…?」

「なんかすげえ視線感じてたから使いたいのかと思って、違う?」


やばい、わたし無意識にそんなビーム送ってたのか。

というか、わたしはそのマフラーが使いたいんじゃなくてそのマフラーになりたかったんだよ。

なんてそんなこと言ったら絶対引かれるからそれは黙っておこう。


「あ、違ってないです。使いたい」

「じゃあさ、せんぱいのとかえっこしよ」


そう言って迅くんはわたしのマフラーを取ると自分のマフラーをわたしの首元に巻いてくれた。