人は醜い――だが人生は美しいーー

歩く度に胸元まである黒い長い髪が風にな びく

そして私はルンルン気分でこの建物に踏み入る……

そう。この時までは楽しかった……


この時までは。



まさかあんな事になるなんて……

私にとって塾は最高の場所だった。

学校よりもどこの場所よりも。

私が私でいられる。そんな気がするからだ。

そして何よりも……楽しかったのだ。

ビルに入ると、エレベーターに乗り塾がある5階のボタンを押す。

今思えばそんな普通なことが幸せだったのかもしれないーーー

エレベーターのドアが開く。

靴を脱ぎ、塾専用の沢山並べてあるスリッパを1足選び、履き透明のカーテンを開ける。

そして先生に挨拶をして。教室に入る。

そしたらみんな居る……はずだ。

ふと教室の時計を見ると16時。

そして授業が始まるのは……16時45分……

早く着きすぎたな。

そう思って途中コンビニで買ってきたグミを思い出し食べる。

瞬く間に16時30分になった。

これでもまだ早い方だが、そろそろクラスのメンバーが来る時間だ。

ガチャリ。とドアが開き1人の男子が入ってくる。