この化け物に街の人たちは、全員、殺された？そして、この化け物は、生存者を探して街を彷徨っている？

信じたくないけど、信じるしかない光景だ。僕は震え気味の足に鞭打って何とか走り出し、裏路地を抜けて化け物が向かっていた方向とは逆の方向に走り出す。その間も、恐怖が止まらない。

それと同時に、何か別の考えが頭に浮かんできた。あれは物の怪？首を斬り落とさないと倒せない？そんな考えがぶわりと浮かんでくる。一体、何故？

僕は立ち止まり、ゼエハアと呼吸を整える。ずっと引きこもって執筆する生活だから、こんな状況でも体力が続かない。

その時、ポンと肩を叩かれた。僕は「ひっ！」と驚き、悲鳴を上げて振り返る。まさか、あの化け物に見つかったのか！？

でも、僕の目の前にいたのは、知らない男性や女性たち五人だった。誰だろう？でも、何だか心が安心している。懐かしいような気がして……。

「ノワール！」

五人の中の一人に声をかけられる。ノワール？一体誰のことなんだろう？

「……誰？」

僕が首を傾げると、全員の顔色が変わった。