それならYouTubeでも見ようと思い、僕はスマホの電源を入れる。でも、YouTubeをタップしたのに画面に動画は現れず、画面は真っ白なままだ。スマホも壊れたのか?

その時、ふと僕はあることに気付いた。やけに周りが静かすぎる。

僕は一応売れている小説家のため、騒音が気にならないよう防音設備の整ったマンションの部屋を借りている。でも、防音だからと言って決して無音というわけじゃない。人の何かを話す声、車の音などは微かに聞こえてくる。でも今は、それさえも聞こえてこない。

僕は時計をチラリと見た。もう十時半だ。もうみんな仕事をしたり、家事をしたり、忙しい時間帯だろう。

僕は不安になり、パジャマから服に着替えると数日ぶりに外へと出た。その刹那、異常がすぐ目に見える。

いつもと変わらない住宅街が広がっているように見えた。でも、全く普通じゃない。だって誰もいない。だから、何も音が聞こえてこなかったんだ。