「ごめんね。辛い思いをずっと抱えていたのに、気付いてあげられなくて……。本当にごめん……」

メルキュールさんの体は震えていて、声もだんだん弱くなっていった。この人が泣いてくれているんだとすぐにわかった。それと同時に、温かい波がまた押し寄せる。

『今日から君は俺の家族だ!』

『私、先生のファンなんです!』

『会えて嬉しいよ、修也』

『……君らなら、信じられるかもな』

『助けていただき、ありがとうございました』

温かな波の中で、大切な人たちの声が思い出されていく。ああ、僕はどうしてこんな大切な人たちのことを忘れていたんだろう。みんなに謝っても謝り足りないくらいだ。

「ごめん、メルキュール……」

メルキュールが驚いたような声を上げる。僕は泣きながら微笑み、「もう少し、このままでいてもいい?」とメルキュールの背中に腕を回した。

メルキュールは無言で僕を抱き締めてくれる。温かい鼓動と温かい波が、僕に大切なことを思い出させてくれた。