「僕がノワール?ふざけないでよ!僕は誰からも必要とされないんだ。親からは「産まなきゃよかった」って疎まれて、僕の一生懸命書いた作品を「暗くて気持ち悪い」って馬鹿にする奴がいて、愛や幸せを知ることなんてない!きっと、僕と友達でいてくれている零だって、本当は僕のことなんて嫌いなんだ!零だって、僕と同じように親から愛されてこなかった。でも、零は僕と違って前を向いて生きてる!僕と零は違いすぎるんだ!こんな僕なんて、僕なんて、永遠に独りなんだよ!!」

苛立って、口から大声が出る。久しぶりに感じた怒りで、心にあった言葉全てが吐き出されていった。それでも、まだ足りない。僕の心には、果てしないほどの悲しみと怒りが広がっているから。そう簡単に消せはしない。

メルキュールさんは、そんな僕を優しい目で見つめた後、抱き締めてくれた。この体温が懐かしくて、涙が自然とあふれてくる。何でだろう?知らない人の前でなんて、泣かないはずなのに……。