「みんな、聞いてほしいことがあるんだ」

メルキュールがそう言うと、全員がメルキュールを見つめる。今さら伝えるなど遅すぎるとカズは言うだろう。リオンも怒るかもしれない。メルキュールは覚悟をしながら、口を開く。

「実は昨日の夜にーーー」

「あれって先生じゃないですか!?」

メルキュールが話し始めた刹那、エリカがメルキュールの背後を指差す。メルキュールが振り返れば、そこにはゼエハアと苦しげに息を吐き、どこか怯えた様子のノワールがいた。

「ノワール!」

メルキュールたちは一斉に走り出し、ノワールの肩を叩く。しかし、ノワールは怯えたままの表情を変えることなく、口を開く。

「……誰?」

全員に戸惑いと絶望が走った。