朝、送迎の車を降りると、私はいつもの場所に向かう。


校門を通って、学校の敷地の端にある大きな建物の前。


そこには建物の柱に背をつけて、優雅に腕を組みスマホを見ている男子生徒がいた。


前髪が少し目にかかる長さの、濡鴉色の髪

同じ色の瞳の切れ長の目に、それを縁取る長いまつ毛

筋の通った鼻に、薄い唇

透明感のある白い肌は、彼の雰囲気のせいかひ弱な感じがしない。

そして、160センチの私より頭二つ分高い身長


何気ない仕草も、彼にかかればまるで一枚の絵画のようだ。



とてつもない美形である。





「優李くん、おはよう」

彼に意を決して声をかける。


優李くんは私を見ると二回瞬きをして、それからふわっと笑った。

「おはよう、千春」